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雛人形の正しい飾り方とポイントとは?初心者でも安心解説

女の子の誕生と健やかな成長を祈って飾るお雛様。
みんなでお祝いした雛祭りは、いつまでも心に残る大切な思い出です。

素敵なお雛様に巡り会えましたか?
お気に入りが見つかったら、次はお飾りですね。

『お雛様を飾るの、大変そう…』の声をよく耳にしますが、いくつかのポイントをおさえたら大丈夫!

それではご説明いたしますね!

雛人形を飾るタイミング

お雛様を飾る時期は一般的に、『2月初めの節分を過ぎて、大安や友引などの暦の良い日』と言われています。
これは “旧暦”を使っていた昔々は、節分の翌日の “立春” を新年としていて、節分までの古い年の厄を豆撒きなどで落とし、そして新年を迎えるという風習が今でも残っているためです。

このタイミングでお飾りする方が多いですが、絶対に守らなければならないというルールはありません。
年末年始はご家族が集まる機会の多い時期。
その時期に合わせてお雛様をお飾りして、皆さん一緒に過ごされるのも1つの方法。

ご家族のライフスタイルにあったお雛様との過ごし方を作り上げるのも素敵な思い出ですね!

飾る場所の選び方

時間をかけて選んだお気に入りのお雛様だからこそ、いつまでも綺麗な姿のまま、ご家族と共に一緒に過ごしたいですね!そのためにはお雛様はどこに飾れば良いでしょうか?

基本的には、どの場所・どのお部屋に飾っても問題はありませんが、ご家族が集まって、いつもお雛様を見られる場所が適しています。

お雛様とお道具類は、材料や製作工程などの性質上、湿気・乾燥・直射日光がとても苦手です。
お飾りいただく時期は冬なのでお部屋は暖房で温めていらっしゃると思いますが、エアコンの暖かい風は乾燥を、加湿器の湿った空気は湿気をお雛様や道具類に与えてしまいますので、それらが直接お雛様やお道具に降りかからないよう気をつけてあげてください。
また、窓から降り注ぐ直射日光は変色や乾燥の原因になるので、日光が直接当たらないように窓から離れた場所を選んでお飾りください。

雛人形の基本的な飾り方~段飾りの配置と順番~

では段飾りを飾ってみましょう!

まず初めに、段を組み立てます。
段がしっかり組み立てられると安心してお雛様を飾る事ができるので、焦らずにゆっくりと進めましょう。手を挟まないように気をつけてくださいね!

畳やフローリングが傷つかないように敷布を敷き、その上で組み立てるのも良いですね。 また、敷布が敷いてあると、飾り終わったあとに少しずらす必要があった時に敷布を引くと段を動かせるので便利です。

段が組み上がったら、毛氈をかけましょう。毛氈は段よりも少し大きいので、左右のあまりが均等になるよう合わせ、1番下の段から順番に付属のピンで留めていってください。メジャーで測って中心にマスキングテープなので印をつけておくと飾るときに便利です。

段に毛氈をかけ終わったら、お雛様とお道具類を飾ってゆきましょう!

一段目

飾る時は最上段 (一段目) から飾ります。
一段目に飾るのは、男雛と女雛、男雛と女雛をのせる親王台、屏風、雪洞、三宝、瓶子、口花です。

① まず初めに屏風を飾ります。
左右が同じになるよう飾りましょう。
飾る人とは別に、正面からバランスを見て指示してくれる人がいらっしゃると飾りやすいです。

② 次にお雛様をのせる親王台を屏風の前に置き、その上に小道具をつけたお雛様をお飾りします。

正面から向かって左が男雛、向かって右が女雛は関東式 、
正面から向かって左が女雛、向かって右が男雛は関西式になります。

③ 次にお雛様の左右に雪洞を飾ります。 雪洞の柄を正面に合わせてください。

④ そして男雛と女雛の間に三宝を置き、口花を刺した瓶子をその上にのせてください。

飾り終わったら正面からチェックしてください。

男雛の紐の掛け方・烏帽子のかぶせ方はこちらを参考にしてください!
https://youtu.be/jHvFiFKKvKs …男雛の帽子“烏帽子”に紐をつける編
https://www.youtube.com/watch?v=ovGoQ8NSp_8 …男雛に烏帽子をかぶせる編

二段目

次は二段目です。
二段目に飾るのは、三人官女、三人官女用の台、高坏、丸餅です。

① まず三人官女に小道具を持たせましょう。

座っている官女には盃の載っている穴のあいた台『三宝』を、
立っている向かって右側の官女には長い棒状の持ち手のついた『長柄の銚子』と、向かって左側の官女には提げる持ち手の付いている『加えの銚子』を持たせてください。
『長柄の銚子』はお酒を注ぐ道具で、『加えの銚子』は長柄の銚子にお酒を足すための道具です。

② 次に、三人官女用の台をバランスよく配置して、その上に小道具をつけた三人官女をお飾りします。

③ そして、三人官女の間に高杯を飾り、丸餅を載せたら二段目の完成です。

三段目

次は三段目です。
三段目に飾るのは五人囃子です。

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五人囃子は、右から左にゆくほど音が大きくなるように飾ります。

① 1番右は謡 (うたい) 。 歌の担当です。たたんだ扇子を右手に持たせてください。

② 右から2番目は笛。メロディーを奏でます。横笛を上手に両手に持たせてください。

③ 真ん中は小鼓 (こつづみ)。 指の使い方で4つの違う音を打ち分けます。小鼓を五人囃子の右肩にのせてください。小鼓の手で打つ部分には絵が描いてあります。

④ 右から4番目は大鼓 (おおかわ)。 小鼓と同じ形をしていますが、大鼓には絵が描いてありません。
膝の上に大鼓を置いて、右手で打ちます。演奏の合間に「ヤー!」や「ハー!」といった掛け声も担当しています。大鼓の紐を左手に引っ掛け持たせてください。

⑤ 1番左側が太鼓。五人囃子のリーダー的存在で、両手に持った撥 (ばち) でたたき、四拍子のリズムを主導します。左右の手に撥 (ばち)を持たせ、太鼓台に載せた太鼓を人形の前に置いてください。

これで三段目の完成です!

四段目

次は四段目。真ん中の段です!
四段目に飾るのは、随身と御膳、菱餅をのせた菱台です。

① まず随身に小道具を持たせましょう。

背矢を背中の石帯 (せきたい)と呼ばれる黒い帯に挟み、右手に持ち矢を、左手に弓を持たせます。
左のウエスト部分に剣を挟み、“おいかけ”という毛のついた冠をかぶせて、冠の後に纓 (えい)をさしてください。
“おいかけ”は耳の前までスライドしてください。

② 次に随身用の台を、上段の五人囃子の1番右と1番左の下辺りに配置して、その上に小道具をつけた随身をお飾りします。

髭が生えていて、黒い着物 あるいは地味な色目の着物を着ている随身が左近衛中将(さこんのちゅうじょう)。
一般的には左大臣と言われています。その左大臣を向かって右に…
若々しいお顔で、赤い着物 あるいは派手な色目の着物を着ている随身が右近衛少将(うこんのしょうしょう)。
一般的には右大臣と言われています。その右大臣を向かって左に飾ります。
「んんっ?左右が逆?」と思いましたか? そうなのです、逆なのです。
この場合の右・左は、1番上の段に居る男雛女雛から見ての右・左なので、飾る時は左右が逆になります。
ちょっとややこしく感じる場合は、“女雛の下にお爺ちゃん” で覚えていただけたらOKです!

③ そして、随身の間に御膳と菱餅をのせた菱台を置いたら四段目の完成です。

五段目

次は五段目です。
五段目に飾るのは、仕丁と桜橘です。


① まず仕丁に小道具を持たせましょう。

仕丁の顔には、怒り顔、泣き顔、笑い顔の3種類があります。
これは人生の喜怒哀楽を表現していると言われています。

怒っている顔の仕丁には台笠を、
泣いている顔の仕丁には沓台(くつだい)を、
笑っている顔の仕丁には立傘を持たせてください。

この小道具は、関東と京都ではちょっと違います。
台笠・沓台・立傘は関東スタイル。 関西スタイルでは、台笠は熊手に、沓台は塵取りに、立傘はほうきに変わります。

② 次に仕丁用の台をバランスよく配置して、その上に小道具をつけた仕丁をお飾りします。
怒り顔の仕丁は向かって左側、泣き顔の仕丁は真ん中、笑い顔の仕丁を向かって右側に飾ります。

③ そして、怒り顔の仕丁の左側に橘を、笑い顔の仕丁の右側に桜を飾ったら五段目の完成です。

一段目から五段目で、十五人のお人形を飾り終えました。
残りの二段はお雛様のお道具類や乗り物を飾ります。

六段目

六段目にはお雛様のお道具類を飾ります。

このお道具類は、お嫁入りの際に嫁ぎ先へ持って行った“嫁入り道具”がモデルとなっていて、お雛道具の場合も嫁入り道具と呼ばれます。

向かって左から順番に、箪笥(たんす)、長持(ながもち)、鏡台、針箱、火鉢、衣裳袋、茶道具と飾ってください。

七段目

七段目には身分の高い方の乗り物であったお駕籠(おかご)と牛車(ぎっしゃ) 、そして重箱を飾ります。   

お駕籠は、人の座った“かご”の上部に取り付けられた棒を前後から担ぎ、人力で運ぶ乗り物です。向かって左側に飾ってください。

牛車は車輪ついた乗り物を牛が引きます。
牛ではなく、人間が引く“御所車(ごしょぐるま)”の場合もあります。
向かって右側に飾ってください。

そして中央に重箱を飾ったら…… 段飾りの飾り付け、終了です!

雛人形を飾る際の注意点とポイント

『説明も読んだし、飾り方も頭に入ったし、大丈夫!さぁ 飾ろう!』…… の前に重要ポイントです!
それは、『箱に入った状態で写真を撮っておく事』です。

お雛様もお道具も繊細で傷つきやすいため、それぞれきちんと梱包されています。
お片付けする際はその状態にできるだけ近づけていただくと、いつまでも綺麗な状態を保つ事ができます。

飾る時、嬉しさのあまりに一気に箱から出してしまうという事がありがちなのですが…
これではお片付けの際、“どこに・何が・どんな状態で入っていたか” が分からず困ってしまいます。
そうならないように、あらかじめ写真を撮っておく事をおすすめします。

また、お雛様のお顔は特に繊細なので、直接触らないよう気をつけてあげてください。
手の脂や汚れがお顔につかないように白い手袋などをはめて作業すると安心です。

皆さんが笑顔で楽しくお雛様を末長くお飾りいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

雛人形の後片付けと保管方法

楽しい雛祭りをお迎えになった後は、さぁ お片付けです!
急いだり焦ったりすると傷つけやすいので、充分に時間をとって、ゆっくり落ち着いて片付けましょう!
湿り気のある雨の日や雪の日は避けて、お天気の良い日に行いましょう。

まず、傷つきやすいお雛様からお片付けする事をおすすめします。
はたきなどで埃を落とし、お顔が傷つかないようしっかりカバーをして箱に入れてあげてください。
蓋を閉める前にティッシュペーパーなどで包んだ防虫剤を上に入れてあげると安心です。
その際は、金具に防虫剤が触れないよう気をつけてください。

お雛様の後は道具類を片付けましょう。

赤ちゃんや小さなお子さんの育児中や家事・仕事でまとまった時間が取れない場合は、数回に分けて片付けるのも1つの方法です。
また、誰か1人に負担がかかりすぎると『お雛様飾るの、やだ〜。』となってしまい、楽しいはずの思い出が辛い思い出になってしまいます。
それはとても残念なので、予定や体調などを考慮して、ご家族みんなで協力してお片付けをお願いいたします。

片付け終わった箱は、押入れの上段や箪笥・クローゼットの上などの高い所に置いて保管してください。
これは高い所ほど湿気が少ないと言われているためです。箱同士をくっつけず、ちょっと隙間を空けて置くと空気の通り道ができるのでベストです。

まとめ

ここまでお読みいただきましてありがとうございました!
七段飾りは飾る物が多くて大変ですが、説明を読んで、イメージして、それから実際に飾っていただくと どんどん覚えられると思います。
また、親王飾り・収納箱飾り・五人飾りなど、スタイルが変わってもお人形や道具類の位置は基本的に同じなので応用できます。

お気に入りのお雛様やお道具を1つ1つを手に取って、ゆっくりと楽しみながら、お飾りください!