お嬢さんのために選んだお雛様。
慣れないながらも頑張って飾って
家族みんなで楽しくお祝いして
また頑張って片付けて…
と、素敵な思い出が1年1年増えていき、
やがてお嬢さんも大人になって
寂しいけれどお雛様とお別れしなければならない時がやって来ます。
でも、簡単には捨て難いお雛様。
ではどうやってお雛様とお別れするかを
一緒に考えてみましょう!
雛人形の処分が必要な理由とは?
よくお客様に、『自分のお雛様を娘に譲っても大丈夫ですか?』というご相談をいただきます。
ご両親に買っていただいた自分のお雛様があるけれど 最近は飾っていないので、
“あのお雛様を娘のお雛様にするのはどうかな?” という気持ちはとてもよく分かるのですが、
お雛様は本来、生まれてきた大切な子供が健やかに成長するよう祈って飾る、また、
降りかかる厄を身代わりとなって引き受けてくれる、御守りのようなお人形なのです。
子供だったお母さんも今ではもう大人になり、新しい家庭を築き、そして自分のお子さんを授かりました。
この時点で、お母さんのお雛様は “お母さんをお守りする” という大きなお役目が終わっているのです。
勿体ないと思う気持ちは大切ですが、お母さんのお雛様は、お母さんの厄を引き受けてくれたお人形なので、
そのお人形を娘さんに譲るというのはあまりふさわしくないのです。
そしてもう1つ。 これは私がいつも思っている個人的な考えですが、
小さい時に『これは〇〇ちゃんのお雛様だよ!』のような言葉を、お父さんやお母さん、
お爺ちゃんやお婆ちゃん、親戚の方などから言われた記憶がありませんか?
その時、嬉しいような、ちょっと誇らしいような、そんな感じがしませんでしたか?
私は次女です。5つ年上の姉がいて、姉は綺麗なお雛様を2セット、母は立派な7段飾りを持っていました。
でも私のお雛様は、母や姉のお雛様とは比べ物にならない程すごく地味なお雛様で、
私はそれがとてもイヤで、毎年お雛様を見るたびに哀しく、母や姉のお雛様を羨ましく思っていました。
お母さんのお雛様を貰ったお子さんは、大きくなったら『これはママのお雛様だったんだよね。』と
思うかもしれません。その時、彼女の心は私と同じかな? と考えてしまうのです。
経験から生じる希望なのですが…
小さくても良いから、できれば『私のお雛様』と思えるお雛様を贈ってあげてほしいと、心から思います。
雛人形の処分方法の選び方
私はお雛様は全く可愛くなく、本当にイヤでイヤで仕方ありませんでした。
(その過去があるので、他の女の子には私と違う素敵な思い出をもってほしいと願いお雛様を作っています😁 )
それでも大人になっていく過程で、可愛くないと思っていた心が変化してゆき、愛着が湧き、今でも手放さず保管しています。
でもいつか私も、そのお雛様を処分しなければならない時はやってきます。
どうやって処分する?
自分に聞いてみると、ちょっと複雑な気持ちです。
では1つづつ考えてゆきましょう!
自宅でできる雛人形の処分方法
“ 気になる・気にならない ” はちょっと別にして、“ できる・できない ” だけを考えた場合には、
お雛様であっても、普通のゴミ同様に自宅で処分することはできます。
『お雛様といっても人形は人形 』と割り切って考える事ができて、後悔せず、抵抗がなければ、
自宅で自治体が回収してくれるゴミの日に出してしまっても 問題は全くありません。
ただ、最近はゴミ回収のルールが大変細かくなっているので、
お住まいの自治体のルールに従って、不燃物や可燃物などに分ける必要が出てきます。
あるいは粗大ゴミ扱いとなる場合もあります。
お雛様は、お子様に降りかかる厄を引き受けてくれる御守りのような存在ではありますが、
無事に大きくなったらお役目は終わります。“ 供養しないとバチが当たる ” という事はありません。
欲を言うならば…
捨てる前に箱から出してあげて、埃を払ってあげて、お顔を見てあげて、
『ありがとうね』 と言っていただけたらば、お雛様も私達のような職人も嬉しく思います。
でも、『ゴミの日に捨てるのはちょっと抵抗がある… 』という方が多い事は事実です。
そんな場合は次の項目を参考になさってください。
雛人形を供養してから処分する方法
御守りのような存在であるからこそ処分に困るもの。
自宅での処分にちょっと抵抗感がある方はぜひこちらを参考にしてください。
① 神社やお寺など、お雛様を供養してくださる所に依頼する方法
神主さんやお坊さんが祈祷や読経でお雛様を供養し、その後処分してくださいます。
有料となってしまいますがきちんと供養していただけるので、『捨てるんだなぁ。』という心の負担は軽減されると思います。
料金は神社やお寺によって違いますが、相場は3,000〜10,000円ほどです。
引き受けていただける神社やお寺は全国にいろいろありますが、最近は環境問題などもあるので、まずインターネットなどでお調べいただき、引き受けていただけるかどうか実際に問い合わせをして確認していただけると安心です。
②『明治神宮人形感謝祭』に持って行き、供養していただく方法
『明治神宮人形感謝祭』は人形に感謝する会が主催し、1989年から毎年秋に行われる恒例行事です。
処分したい人形等の受付は、当日の持ち込みに限られています。
9時30分から受付が始まり、ひとかかえ3,000円の初穂料で引き取っていただけます。
ひとかかえの目安は、45リットルのポリ袋に入る程度とされています。
引き取られたお人形は奉鎮台に並べられ、神主さんがお祓いをして魂を抜いてくださいます。また、
本殿にてご祈祷が行われ、浦安の舞が奉奏されます。
ずらっと並んだお人形やぬいぐるみの数々。その光景を見ると、
時代と共にいろいろな事がどんどん変化しても『人形には魂がある』と思い大切にしてきた風習が
今も私達の心に生き続けている事をしみじみと感じます。
お雛様の処分方法の見学ではないけれど、
ご家族やお友達と一緒に秋のお散歩がてら、ちょっと明治神宮へ足をのばしてみるのはいかがですか?
詳しくは明治神宮人形感謝祭のウェブサイトをご確認ください!
HP : https://ningyou-kanshasai.com/
専門業者に依頼する雛人形の処分方法
① 一般社団法人 日本人形協会 が行なっている『人形感謝(供養)代行サービス』を利用する方法
日本人形協会とは、私達のような人形関係の業者が加入している協会です。
その日本人形協会が日本郵政と提携し、
ご家庭にある要らなくなってしまった人形等を通年で引き取ってくれる代行サービスです。
引き取られた人形類は『明治神宮人形感謝祭』開催まで一時保存され、
開催日に合わせて明治神宮へ送られて、きちんと供養していただきます。
明治神宮まで行かれない場合や、高齢の方にはとても魅力なサービスですね。
料金は、段ボールの3辺の合計が170cm以下で、重さが30kg以内 の1箱の場合だと
5000円+ゆうパック料 となります。
詳しくは日本人形協会のウェブサイトをご確認ください!
HP:https://www.ningyo-kyokai.or.jp/kuyou/
② 回収業者さんに依頼する
先日、不要になったガラス付きの戸棚を処分したいと思いインターネットで検索したところ、
見切れないほどの回収業者さんのウェブサイトがありビックリしました。
その中からいくつか選んで、見てみたところ、“ お雛様も回収します。” と書いてありました。
( 『私、雛人形作ってます!』とPCに向かって呟き、笑いました😁 )
自宅まで来てくれるので運び出す手間が要らない、便利な回収業者さんに依頼するのも1つの方法ですね! ただ…
本当にたくさんの回収業者さんのサイトがあるので、どこが良いか選び難い事や、
ちょっと怪しい業者が増えているような気配もあるので、業者選びには細心の注意を払っていただきますようお願いいたします。
雛人形のリサイクルや寄付について
リサイクルショップやフリーマーケット、フリーマーケットアプリなどでお雛様が売られているのを目にする事があります。
『捨てるなら売っても良いかな?』と考えられたのだと思いますが、お雛様の本来の意味から考えると、
“売ってお金にするのはちょっと違うかなぁ…” と言う感じがするのは否めません。
売るのではなくて、幼稚園や保育園、老人ホーム、公民館など、
お雛様を飾って喜んでくれる方がいる場所に寄付するという考えもあります。
ただ、同じ事を思う方がいらっしゃるため、『もうお雛様持ってます。』という所もありますので、
まず、責任者の方にお尋ねして、引き受けていただけるかどうかの判断をお願いしてください。
雛人形処分時の注意点とマナー
自宅で処分する方法以外を選択した場合ですが、引き受けてもらえるのは人形本体のみです。
お雛様を飾った台やお道具類、ガラスケースなどはご自分で処分しなければなりません。
その際はお住まいの自治体のゴミ回収のルール上、どのように分別するかを確認して、
不燃物や可燃物などに分けて処分してください。 大きさや素材によっては粗大ゴミ扱いとなる場合もあります。
使用されている素材等が分からず、どのように分別したら良いかが分からない場合は、
同地域内にある雛人形取扱店に相談してみるのも方法だと思います。
まとめ
お雛様には“いつまで飾らなければならない” というルールはありません。
1000年以上の歴史があるお雛様は、日本の女性にとっては意味のある大事なお人形です。
歳をとって、おばあちゃんになっても、自分のお雛様を飾れたらば… それはとても素敵で幸せな事だと思います。
それと同様に、“いつ、どのように処分するか?” という決まりもありません。
自分の心と話し合って、後悔しない処分方法を見つけていただく参考になったらば嬉しく思います。