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雛人形の選び方!失敗しない為に初心者が知っておくべきポイント

女の子の誕生を記念してご購入されるお雛様。
お洋服や日用品と違って、買い替える事のないお買い物です。
そう思うとちょっと緊張しますね。
でも大丈夫、安心してください!
ここでは雛人形を選ぶ時に参考にしていただけるような、
知っておいた方が良いポイントをご紹介いたします!




失敗しない雛人形の選び方

自分にピッタリなお雛様を選ぶためにはいくつかのポイントがあります。
それを1つづつ説明していきますね!

お人形のお顔と衣裳

まず1番初めのポイントは『お雛様のお顔』です。
お顔は、頭師(かしらし) と 結髪師(けっぱつし) という職人さんによって作られます。

頭師さんはまず頭の型に石膏を流し込み、頭の土台を作ります。
その土台に数回胡粉の上塗りをほどこし、艶やかな顔の下地を作ります。
次の工程からが繊細な作業のお顔作りです 。

まずガラスの目が入っている部分に小刀を入れ、お雛様の目を切り出します。
目の開いたお顔にアイシャドーを入れ、細かな線で1本1本丁寧に髪の毛の生え際・眉毛・まつ毛を描き、微笑んだ唇に口紅をさします。
ここまでが頭師さんの仕事で、次は結髪師さんの出番です。
結髪師さんが 筋彫り(すじぼり)という溝に髪の毛の束を入れ、ブラシを巧みに使い美しく結い上げます。
そして 元結(もっとい)や 釵子(さいし)などの飾りをつけて1つの頭の出来上がります。

頭師さんと結髪師さんが違うと、生み出されるお顔は全く違います。お店によってお雛様のお顔が違うのはこのためです。
お顔には赤ちゃんのようにふっくらして愛らしいお顔や、子供らしい可愛いさいっぱいのお顔、細面で大人っぽい雰囲気のお顔や、お雛様の歴史を物語る京都のお雛様のお顔など、さまざまな種類があります。


『どのお顔が好きですか?』
  
これが最初のポイントです! たくさんのお雛様を見て、お好みのお顔を見つけてください。

好きなお顔が決まったら次は『お雛様の衣裳』 です。
私達が洋服によって印象が変わるのと同じように、お雛様のお顔も、着物の色で印象が違います。
白やパステルカラーのお雛様は、明るく若々しい感じで、華やかさがある現代的お雛様の印象。
濃い色のお雛様は、凛々しくすっきりとした感じで、重厚感がある伝統的お雛様の印象。
下の写真の男雛は、同じ大きさ・同じお顔なのですが、だいぶ雰囲気が違います。


『どの衣裳が好きですか?』    
気に入ったお顔に映える、素敵な着物を見つけてください。

お人形の大きさと飾り方

2番目のポイントは『お雛様の大きさと飾り方』です。 下の写真を見ていただけますか? 
2枚の写真とも、左側は小三五、中央は芥子、右側は柳 と呼ばれるサイズの女雛です。
それぞれのサイズの横幅は、小三五親王= 約26cm 芥子親王= 約21cm 柳親王= 約16cm になります。

お雛様が大きいと豪華で華やか、重厚感もあります。けれど、セットで飾る場所は横幅50、60cm以上が必要になります。
お雛様が小さいと可愛さいっぱいで、セットで飾る場所も省スペースですみます。けれど、豪華さの点では大きなお雛様にはかないません。

小三五よりも大きいサイズや、芥子と柳の中間サイズ など、サイズはもっといろいろあります。

『どの大きさを飾ってみたいですか?』   

お人形の大きさと合わせて『飾り方』も見てみましょう。 例として、ちょっと大きめの小三五サイズが気になったとします。
2枚の写真はともに小三五サイズのお雛様ですが、左側の収納箱スタイルの飾り幅は55cmで、右側の親王飾りスタイルの飾り幅は60cmです。5cmの違いですが、見た時に受ける印象はとても違います。 
また、収納箱スタイルの場合は直接床の上に飾ることができ、親王飾りスタイルの場合はチェストや机などの上に飾ります。

『どんなスタイルで飾ってみたいですか?』

お人形の大きさと飾り方は他にもいろいろあるので、たくさん見てお好みのスタイルを見つけてください。

どんな雰囲気を求めるか


次のポイントは『どんな雰囲気を飾ってみたいですか?』 です。
下の写真の左側のような、伝統的な色彩のクラッシックスタイルを飾ってみたいですか? 
それとも中央と右側のような、おしゃれで可愛いモダンスタイルを飾ってみたいですか?

「インテリアに合う明るいセットがいいなぁ。」や「娘のお雛様だから可愛い方がいいな。」や「私のイメージは伝統的な感じ。」といった飾ってみたい希望の雰囲気が心の中に存在すると思います。雰囲気の違ういくつかの候補を選んで、比較してみるとお雛様選びがスムーズに進むと思います。
この他にもいろいろな雰囲気がありますので、希望の雰囲気のお雛様を見つけてください。

予算

それから予算を決めましょう。 
「予算が1番じゃない?」と思われるかも知れませんが、お好みのお顔や衣裳、希望の大きさや飾り方、雰囲気などが絞られると、希望がはっきりしてくるので選びやすくなります。そして、選んだ候補の比較もしやすくなるので、予算決定がスムーズに進められます。
また、実際に見てみると印象が違ったりする場合もあるので、予算にも第1候補、第2候補… とあると良いと思います。

第一印象

第一印象は大切にしてください。

1番欲しいセットは第一印象が良かったセットの可能性が大きいです。
それがとても大きなセットだった場合でも、そこには心をひきつけられる特別な魅力が存在するのです。


いろいろなお雛様を見すぎたために 何だか頭がごちゃごちゃになってしまった時は、第一印象の良かったお雛様に戻ってみる事をおすすめします。
そうすると、心をひかれるポイントが再確認できて、その後のお雛様選びがスムーズになると思います。

雛人形を選ぶ前に確認しておくべきこと

お雛様選ぶ前に、知っておいた方が無難な事がいくつかあります。

家族の希望

まず第1がご家族の希望です。 これは私の経験からくる想像ですが、

旦那様のご実家が男の子ばかりのご家庭だった場合、
お祝いするお子様は待望の女の子。旦那様のご両親は “素敵なお雛様を飾ってあげたい!” という気持ちが強いかも知れません。

お嫁さんに行かれた場所がお祝い事に熱心な地域だった場合、
お嫁さんのご実家のご両親は “娘と孫のためにいいお雛様を贈ってあげたいな〜!” という気持ちが強いかも知れません。

伝統的な風習だからこそ、人それぞれに想いの温度は違うものです。
私は過去に、雛人形の売り場でお雛様を選んでいる最中に、ご家族がちょっと険悪なムードになってしまったケースに数回遭遇しました。
でもそれは、『素敵な思い出を作りたい。』 というご家族の純粋な気持ちが噛み合わなかっただけなのです。

1番尊重するのは『お祝いをしてもらうお嬢様の居るご家庭の意見』、大事なのはママ、そしてパパです。
ママはどんなお祝いを望んでいるのか、パパはどんなお祝いを望んでいるのか、お互いの希望聞いて、意見を尊重し合い、いくつかのプランを考えてください。

そのプランを決める過程で “参考程度” に、ご実家の意見を伺ってみてください。
絶対にご実家の意見に従わなければならない訳ではありません。 
けれど、お孫さんを想うご両親の気持ちに触れることは、良い結果に結びつくと私は思っています。

飾るスペース

プランを練る中に、『飾る場所はどこにする?』もぜひ入れてください。
2〜3の候補があるとお雛様を選びやすくなります。
基本的には、お雛様との時間を共有できるよう、ご家族がいつも集まる場所にお飾りいただくのが1番です。
お嬢様の成長に合わせて飾る場所を変えていくのも良い思い出になると思います。

収納スペース

ご家族とお雛様の楽しい時間が過ぎた後は…お片付けです。
箱にしまってから『どこに置く?』となっては、楽しい思い出が大変な思い出になってしまいます。
飾るスペース同様に、お雛様一式をしまって置く場所も事前に話し合っておくことをおすすめします。

予算別のおすすめ雛人形

それでは、工房凧の予算別のおすすめ雛人形をご紹介いたします!

5万円台のおすすめ 

桜がテーマの可愛くて超コンパクトなお雛様です。
お雛様の大きさは “手のひらサイズ” の柳親王。
飾り台の横幅は35cmと超コンパクトです。
お雛様の着物は京都西陣金襴から、満開の桜を織り込んだ薄紫とピンクを選びました。

6万円台のおすすめ 

赤がメインカラーのクラッシックなスタイルのお雛様です。
お雛様の大きさは柳親王より一回り大きい 小芥子親王。
飾り台の横幅は48cmとコンパクトです。
赤は生命を象徴し、悪い物を寄せつけず幸運を呼び込む『魔除けの色』と言われています。
お雛様の着物は京都西陣金襴から、王道の紺と赤を選びました。

7万円台のおすすめ

ホワイトベースのおしゃれで超コンパクトなお雛様です。
お雛様の大きさは柳親王より一回り大きい 小芥子親王。
飾り台の横幅は38cmと超コンパクトです。
お雛様の着物は桜柄の京都西陣金襴から、格式の高い紫と清楚な白を選びました。

8万円台のおすすめ


①スタイリッシュでおしゃれな超コンパクトなお雛様と、
②日本独特の美意識“侘び寂び”がテーマの大人っぽいお雛様です。

①スタイリッシュでおしゃれな超コンパクトなお雛様はこちら。
お雛様の大きさは “手のひらサイズ” の柳親王。
飾り台の横幅は32cmと超コンパクトです。
お雛様の着物は京都西陣金襴から、四季の花を織り込んだ春らしい若草色とピンクを選びました。

②日本独特の美意識“侘び寂び”がテーマの大人っぽいお雛様はこちら。
お雛様の大きさは柳親王より一回り大きい小芥子親王。
飾り台の横幅は48cmとコンパクトです。
屏風は、梅・桜・菊を深みある色彩描いた友禅裂地をもちいたモダンな2曲スタイル。
お雛様の着物は吉祥を表す華紋を織り込んだ、無地感覚のおしゃれな京都西陣金襴を選びました。

9万円台のおすすめ

①おしゃれなグレーがベースのスタイリッシュで超コンパクトなお雛様と、
②どのお部屋にも合うほっこりあたたかな雰囲気の可愛らしいお雛様です。

①おしゃれなグレーがベースのスタイリッシュで超コンパクトなお雛様はこちら。
お雛様の大きさは “手のひらサイズ” の柳親王。
熟練の職人技が実感できる、引き出し式の収納箱の横幅は38cmと超コンパクトです。
お雛様の着物は大きめの桜柄を織り込んだ、白とピンクの京都西陣金襴を選びました。

②どのお部屋にも合うほっこりあたたかな雰囲気の可愛らしいお雛様はこちら。
お雛様の大きさは小さ過ぎず、大き過ぎず、ハイクオリティな上芥子親王。
飾り台の横幅は48cmとコンパクトです。
お雛様の着物は雪輪と桜を織り込んだ、白とサーモンピンクの “段織り” という京都西陣金襴を選びました。

10万円以上のおすすめ


①春色ぼかしがお部屋を明るくしてくれる可愛いお雛様と、
②自然素材をもちいたモダンで存在感ある大人っぽいお雛様です。

①春色ぼかしがお部屋を明るくしてくれる可愛いお雛様はこちら。
お雛様の大きさは両手の大きさくらいの、飾り映えする、ハイクオリティな小三五親王。
つややかなピンクぼかしの収納箱の横幅は55cmと手頃なサイズです。
お雛様の着物は、雪輪と桜を織り込んだ “段織り” という京都西陣金襴を選びました。

②自然素材をもちいたモダンで存在感ある大人っぽいお雛様はこちら。
お雛様の大きさは小さ過ぎず、大き過ぎず、ハイクオリティな上芥子親王。
飾り台の横幅は50cmと手頃なサイズです。
お雛様の着物は吉祥華紋を織り込んだ、おしゃれな配色の京都西陣金襴を選びました。


雛人形の手入れ方法と保管のポイント

お雛様のお手入れ方法と保管には、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、お雛様のお手入れ方法です。

お雛様とお道具類は、①湿気と乾燥、②直射日光、③手の汚れと脂 がとても苦手です。

① 湿気は、シミやカビの原因となります。
  乾燥は、お雛様のお顔や道具類のひび割れや反りの原因となります。

お雛様をお飾りする季節は冬なので、加湿器やエアコン、ヒーター等をご使用になると思います。
その際、加湿器の吹き出し口から出る蒸気や、エアコンやヒーターの暖かい風が直接お雛様に当たらないように気をつけてください。

② 直射日光は、お雛様のお顔やお道具類の色褪せや材質の劣化の原因となります。

窓の近くにお飾りすると直射日光が当たったり、結露した際は湿気のもとになりますので、窓から離れた所にお飾りください。

③ 手の汚れと脂は、特にお雛様のお顔に大問題です。手に付いた汚れと脂はシミの原因となります。

お雛様のお顔に触れる際は、白い手袋をご使用になる事をおすすめします。
また、お子様がお雛様に触れたいと言った際は、『お顔は触らないでね。』 と教えてあげてください。

次は保管のポイントです。

お雛様をお片付けする日は、カビやシミのもととなる雨や雪の日を避けて、お天気の良い日にお願いいたします。 
箱にしまう前に、はたき等で埃を落としてあげてください。
うっかりお雛様のお顔を触ってしまう事もあるので、白手袋をはめておく事をおすすめします。

お雛様を箱にしまって蓋をする前に、防虫剤を上に入れてあげてください。
防虫剤は人形専用の防虫剤をお選びいただき、直接お雛様に防虫剤が当たらないようティッシュなどで軽く包んでください。

お雛様の保管場所は、高い所の方が湿気が少ないと言われていることから、クローゼットの上や押し入れの上段など、高い所が適しています。
空気の通り道があると更に湿気防止となるので、ちょっと隙間を開けておくとベストです。

お雛様選びもとても大変なのに、更にいろいろあって恐縮ですが…
お雛様のために、どうぞよろしくお願いいたします!

まとめ

30年以上雛人形に関わっているのでお伝えしたい事がたくさんあり、いろいろな事を書いて長くなってしまいました。
ここまで読んでくださいましてありがとうございました。

お雛様を選ぶ時は、『大きくなければいけない』とか、『安いのはダメ』 などと言った制約は一切ありません。
『飾ってみたい!』や、『飾ってあげたい!』と言う気持ちが1番大事です。
真剣になればなるほど、つい楽しい気持ちを忘れがちです。
どうぞリラックスして、笑顔で、お雛様選びを進めてください!

皆様がお気に入りのお雛様に出会って、素敵なお雛祭りをお祝いできますよう、心から応援しています!